共に公共哲学する
日本での対話・共働・開新
金泰昌編著 東京大学出版会 2010年8月1日 3800円+税
以前、このサイトで紹介した『金泰昌(キム・テチャン)‐武田康弘の往復書簡』が何と本として出版されてしまいました!
(さまざまな人との対話が載っていますが、『金泰昌‐武田康弘の往復書簡』はこの本の1/4を占め、事実上、中心的な扱いを受けています。なお、このサイトでたびたび出てくる荒井さんと金さんとのやりとりも載っています。)
これには驚きました。
これは金さんと市井の一哲学者である武田康弘との対談録(内容的には厳しい対決・対話的討論)であり、その内容の核心の一つが学校序列宗教=東大病 批判にあるのです。それが東大出版会から出たのですから、普通の感覚からすると、エッ!となるのも不思議ではありません。
それが本として出版されたわけは、おそらく、
『武田康弘氏は今日に到るまでの日本在住(一九九〇−二〇〇七)の期間に出会ったほとんど唯一の在野の気概のある民間哲学者もしくは市民哲学者です。』
対談の初めの金さんのこのコメントがその理由の一つを表しているでしょう。
が、より本質的には、既成の知や理論から出発するのではなく、より根源的なところからとらえ直そうとする館長・武田康弘の原理的思考の絶大な威力に圧倒された、というのが本当のところではないかと思います。
これこそ民知の威力!と私は思いますが、いかがでしょう。
是非、一読していただきたいと思います。
この本、とても高価ですので、中々手に入れるのは大変だと思います。
が、この往復書簡の内容はすでにこのサイトで公開済みです。下記を参照ください。
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往復書簡 Part1.、Part2.
ついでに言うと、この本に出ている往復書簡の前半部(往復書簡1-21)のうち、金さんが書かれたものはかなり追加、修正が加えられています。このサイトにあるものはオリジナルの無修正のものです。生々しくヴィヴィッドですヨ!
それから、Part1.の15.および16.、Part2.の最後の二本、33.および34.はこの本には出ていませんので貴重です。一見の価値あり!
なお、このあと、二人の往復書簡は何度か続いており(未公開)、いよいよ哲学の最も根源的な問題、『私』にかかわる対話に入ったところで中断となっています。テーマは「命」(生命・生活)。続くととてつもなく面白くなると思うんですが、さて・・・・
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