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26.わたしが選んだ2002クラシックベスト10 

 ちょっと遅くなってしまいましたが、恒例の 教育館館長タケセンによる《わたしが選んだクラシックベスト10 》です。

2001クラシックベスト10 はこちら‐‐ー>


以下は作曲年代の古い順です。

1.

ヘルド・バイ・ザ・イヤーズ −マッティス エア集−

 

パラディアン・アンサンブル
(直輸入盤SUPER AUDIO CD) LINN CKD 168  \3,200

 

 イタリアバロック期の作曲家マッティスの大変珍しい曲目が並ぶ。理屈ぬきで愉しく気持ちの良い音楽。伸びやかで典雅。

2.

ベートーヴェン 「ヴァイオリン・ソナタ全集」

 

オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン) マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)
グラモフォンUCCG 1129/31 三枚組み  \7,646

 

 思索的、古典的なベートーヴェンではない。流動的な生き生きとしたフレーズ。アグレッシブな、けれども品の良い表現。鮮魚!いや、とれたての魚だ。“深み”への探求とは異なる“感じる”ベートーヴェン。

3.

「シューベルト・フォー・トゥー」

 

ギル・シャハム(ヴァイオリン) イョラン・セルシェル(ギター)
グラモフォンUCCG 1128  \2,548

 

 ピアノのパートをギターに置き換えての超高級!バックグラウンドミュージック。品位が高く且つ親しみやすい。明晰で、優しみにあふれる音。

4.

シューベルト「ザ・グレイト」/
  R.シュトラウス「メタモルフォーゼン」

 

ルドルフ・ケンペ指揮/ミュンヘン・フィルハーモニック
SONY RECORDS INTERNATIONAL SICC 57  \1,995

 

 健康的。まっすぐで爽やかな叙情のシューベルト。快適なテンポと強い推進力。ダイナミックで立体的。健全な力に満ちた実に気持ちのよい「ザ・グレイト」。
録音1968年、世界初CD化。

5.

メンデルスゾーン「無言歌集」 (再発売)

 

田部京子(ピアノ)
DENON COCO−70450  \1,050 

 

 曲と奏者がドン・ピシャリと合っている。満ち足りた、豊かな静謐。メンデルスゾーンの暖色系の叙情が広がる。

6.

ワーグナー「管弦楽曲集―1」 (再発売〕

 

オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニアo.
EMIクラシックス TOCE59119  \1,700

 

 悠然、巨大。そしてどこまでも見通せるような透明感。巧まざるユーモアも。ワーグナー序曲集の決定版。クレンペラーの右に出るものなし。録音1960年。高音質化しての再発売。

7.

ブルックナー「交響曲第八番」

 

ギュンター・ヴァント指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
BMGファンハウス BVCC−34041~42 二枚組み  ¥2,940

 

 徹底的に吟味され熟考された完璧な名演。しかも瑞々しく新鮮。オーケストラの機能美も録音の美しさも頂点に達している。 2001年、ヴァント最晩年の感動的な遺産。

8.

ブルックナー「交響曲第八番」/
  ワーグナー「ジークフリート」より (再発売)

 

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
WESTMINSTER UCCW−1033/4 二枚組み  \3,600

 

 そっけないほど直截な力に満ちたクナッパーツブッシュの第八を聴くと「完璧」なヴァントの名演が小さく見える。深く大きな呼吸、霊感に溢れた巨大な音楽、人間業とは思えぬような世界がかつてはあった。 濃やかさ緻密さとは異なる別次元の音楽が!ヴァントの名演は9.9か10.0だ。しかし、細部に拘泥せずインスピレーションの力で本質を射抜くようなクナッパーツブッシュの音楽は数量化を受け付けない。
 LP時代からいつ聴いても全身に鳥肌が立つ。録音1962年。

9.

バルトーク「ピアノ協奏曲第一番第二番」他 (再発売)

 

ポリーニ、 アバド指揮 シカゴso.
グラモフォン UCCG9276  \1,800

 

 20世紀最高のピアノ協奏曲、完全無欠の名盤の再発売。録音当時ポリーニ35歳。ピアノ、オーケストラ共にあまりのうまさに舌を巻く。

10.

ブリテン「3つの無伴奏チェロ組曲」

 

ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ)
(直輸入盤SUPER AUDIO CD) CHANNEL CLASSICS CCS SA 17102  \3,200

 

 演奏者のウィスペルウェイは、古典も現代曲も、時代楽器も現代楽器も余裕で弾きこなすチェロの天才だ。ブリテンの無伴奏チェロ組曲がこれほど面白いとは!真摯で、深く、愉しく、面白い、これはすごいことなのだ。ウィスペルウェイは21世紀のチェロの旗手、新譜すべてが輝いている。

武田康弘

 

2003年1月21日 古林 治

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