周さんとの再会
周 剣石さん
中国北京 清華大学美術学院 副教授
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周さんは当時、漆(うるし)の勉強のために来日していました。元々漆は中国で起こり、日本に伝わり、そして日本で発展したものですが、中国では逆にすたれてしまった工芸でもあります。その主な理由は中国料理が油を多く使うからだとも言われていますが、漆工芸は実は漆器(しっき)だけではなく、絵画としても存在していました。日本ではさほどポピュラーではありませんが、周さんは日本で発達した漆の技術を中国で絵画として再生させたいという思いで留学していたのでした。
今回、東京芸術大学での講演のために2年ぶりに来日されたのですが、その折に白樺教育館を訪ねてくれたのでした。 講演の内容は『漆と白樺の民芸思想について』。
というわけで、これは是非ともタケセンともう一度話をしなくては、と相成ったわけです。
2年ぶりの再会、左から
タケセン
大澤さん(哲学の会会員でタケセンに周さんを紹介した人です。)
学芸員の桜井さん
武田百代さん(武田夫人)
周さん
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そういうわけで再びエンドレス対話のはじまりはじまり。
これはタケセン得意のポーズ。周さんの投げかける質問にグッと集中して考え込むの図。
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おもむろに、
『それはこういうことだと思いますよ・・・』
これもタケセン得意のポーズ。必死にメモを走らせる周さん。
後ろに飾られている絵は柳宗悦、リーチらが敬愛したウィリアム・ブレイクです。
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柳宗悦の民芸論の核心、作家と職人、リーチと柳の激論、自我意識と純粋意識、中国、ヨーロッパ、日本の思想について、中国医学と西洋医学、話は延々と。この頃にはもう3人のみ。夜中の2時過ぎになってようやく解散。翌朝の東京芸大での講演がなければ、おそらく朝まで続いたことでしょう。(翌日の講演後には、さらに芸大の先生が一人参加して第2ラウンドが始まったのでした。)
バーナード・リーチは後年、『自分にとって我孫子時代が最良のときであった。』と述懐しています。特に柳宗悦との激論は今にも伝わっていますが、おそらく白樺派の人たちは、純粋に『よいとは何か、美しいとは何か』を日常的に真剣に語り合っていたのでしょう。今回の周さんとの再会はそんな昔の白樺派の人たちの日常を想起させるような出会いでした。
周さんはまた芸大を訪問することがあるようなので、ときどき教育館にも来てくれることになるでしょう。また大きな楽しみが増えそうです。
リーチの椅子
子の神大黒天駐車場から見た旧村川別荘
右側のけやきの巨木が目印になります。
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白樺教育館のすぐそば、子の神大黒天(ねのかみだいこくてん)横に旧村川別荘があります。実はこの中にバーナード・リーチがデザインした椅子があるのです。
機会があって中をのぞくことができましたので、そのリーチデザインの椅子をご紹介します。
バーナード・リーチ‐‐->
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リーチがデザインしたこの椅子、リーチのつぼがそうであるようにおそろしく上品で繊細です。
でもそれだけではなく、 宮大工の手になるこの椅子の座面や背もたれは荒々しく削られ、その痕がそのまま上品なデザインと溶け合って不思議な艶(なまめ)かしさをかもし出しています。ちょっと座ってみたかったのですが、壊してしまったら大変と躊躇(ちゅうちょ)してしまいました。
三角椅子(さんかくいす) 2脚
デザイン:バーナード・リーチ 1916〜1919 我孫子在
製作:佐藤 鷹蔵 宮大工 我孫子在
村川堅太郎氏ご遺族から寄贈
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お立ち寄りの機会があったら、ぜひ覗いてみてください。文学館にあるリーチのつぼと一緒に見るとさらに面白いと思います。
問い合わせは以下をご覧ください。
旧村川別荘 |
1915(大正4)年 |
村川堅固氏、当地に土地購入。 |
1921(大正10)年 |
旧我孫子本陣邸内にあった離れ屋を購入、移築。 |
1926(昭和元)年 |
堅固氏が朝鮮旅行の印象をもとに設計したユニークな外観の銅版葺(どうばんぶ)き、モザイク床構造の新館を建設。 |
手賀沼を一望する景勝地として知られた子の神(減延寿院)境内に接し、隣接し、樹林豊かで幽邃の痕跡もあり、水と緑の景観がよく保たれている。
堅固氏から子息堅太郎氏に受け継がれ、堅太郎氏亡き後 |
1994(平成6)年 |
大蔵省の所管に移る。 |
1995(平成7)年 |
我孫子市に管理が委託される。 |
2001(平成13)年 |
国より我孫子市が購入。 |
今の季節、今は緑がいっぱいで建築物の写真をうまく撮ることができません。機会があったら改めてご紹介します。
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村川堅固(むらかわけんご) 1875-1946
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1898年
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東京帝大分科大学史学科卒。
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1903−06年
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ヨーロッパ留学
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1906年
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東京帝大助教授
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1912年
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同教授
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1935年
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名誉教授
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主な著書 西洋上古史、希臘(きろう)史、世界改造の史的観察、、米国と世界大戦。
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