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113. オーディオ体験談 ‐ 普遍的な『よい』を求める

 ひょんなことから素晴らしいオーディオ体験をしました。二つの『普遍的なよい』音にめぐり合ったのです。その経緯をちょっと長いですがご紹介。

 オーディオ好きなあなたはもちろん、『よりよい』を追求する民知者(哲学者)であれば誰でも共感してくれると思うのですが、さて・・・

参考:普遍的とは何か=> ヨーロッパ思想のアキレス腱 − 超越性、一般性、普遍性

オーディオ体験談 ‐ (1) 古林治・染谷裕太・武田康弘

タケセンの「思索の日記」より 2009-09-01


≪オーディオ≫=感性が試される総合技術は、よき音楽文化を生みます。

以下は、白樺MLです。


古林です。
オーディオ体験談です。

今日(8月17日)、私は29年ぶりに自分のオーディオ・スピーカーを買ったのですが、とてもエキサイティングな体験でしたので少し触れてみたいと思います。

私が最初に自分のスピーカーを手にしたのは大学に入ってすぐ。JBLやタンノイといった海外の製品にあこがれながらも、高価なものは手に出来ず、迫力で勝負!とばかりに自作したのが最初の体験。
フォスターという日本メーカーのFE-203Σというユニットを2発入れたバックロードホーンでした。
品性とは無縁ながらジャズやロックを迫力だけで聴くには最高(とてもクラシックは聞けなかった、笑)。それから7年後、仕事の関係でヤマハ(日本楽器)のスピーカーを安く手にすることが出来、NS-690を買いました。実はつい最近まで他のオーディオ・システムとともにNS-690で聞いていたのです。私のスピーカーはそれ以来、実に29年ぶりなのです。

で、今日の秋葉行きとなったのですが、その経緯はこんな感じです。
染谷裕太君から、オーディオのシステムづくりを依頼されていたタケセンは、40年以上も付き合いをもつ秋葉原のダイナミックオーディオに行くことになり、スピーカーを物色していたわたし(古林)にも誘いのメールがありました。わたしもよろこんで同席し、視聴した、というわけです。

その体験は?
正に、驚きと歓びの連続でした。

GX100

染谷さんのFostex GX100

最大の驚きのひとつは裕太君が買おうとしているオーディオ・システムのスピーカー、Fostex GX100
そう、かつて私が自作したフォスターという会社の製品です(名称はFostexへ)。ところが、安くて迫力がある、というイメージだったものがそれとはまるで真逆。
GX100をDennonのアンプとCDプレーヤーにつなげ、ベートーベンを流す。まるでコンサート・ホールにいるような場が浮き上がってくる。音の輪郭はくっきり、透明で楽器一つ一つが明瞭に把握でき、立体感もある。音そのものに力もある。忠実な原音再生。限りなく元の音を忠実に再現してやろうというエンジニアの執念のようなものを感じます。その執念は半端なものではありません。なんだかツァイスのゾナー・レンズのあきれるほどの解像力を思い出します。それに、音量を上げても一向にバランスが崩れない。ますますパワーを上げたくなる。

これは凄い! こんな小さいスピーカーシステムでこれだけの音が聞けるのか!
あとはアンプをどれにするか。パイオニアとデノン。聞き比べれば明らか。パイオニアのアンプはよい音楽を再生しようとするけれど、GX100はひたすら原音に忠実に再生しようとする。結果的にはなんだか臨場感が失われてしまう感じ。デノンは忠実ですねえ。タケセンに言わせると地味、ということですが、細部にいたるまで原音再生にこだわるGX100にはこちらがぴったり。コンサートホールにいる臨場感、生々しさはこちららが凌駕。これで決まり!!

タケセン推薦のアンプとCDプレーヤーとスピーカーは一式で175000円(タケセンの交渉で価格コムの最安値より安い!)。
この価格でこれほどの音場が再生できるとは驚異としか言いようがありません。
これは素晴らしい買い物だ。


さて、次は私の番。
実は、真空管アンプ(Triode TRV-88SE)とCDプレーヤー(マランツSA8003)はすでに購入済みなのでこれらに合ったスピーカー探しということなのです。
タケセン推薦の真空管KT88を使ったアンプは、結構音がドンドンと出て来るタイプでエネルギーがあります。でも音自体は柔らかいです。音楽を聞かせるアンプです。
それとGX100を組み合わせるとどうなるか?良くないとは聞いてたけど、ちょっとドキドキワクワク。なぜって、あれだけ素晴らしい音出してたスピーカーですもん。でも・・・
なんだこりゃ!? 音が分離しない、ごにょごにょ固まった音魁が出てくるだけ。あきれ果てる。ガックリ!相性悪いとかではなく、まったく互いに受け入れない感じ。

それから店員さんお勧めのスピーカーをいくつか聞く。最初はJBL。えー!JBLってこんな情けない音だったっけ?モコモコして音の切れが悪い。確かに大きなキャビネットで鳴らせばそうなるよね。ちょっとがっかり。
それからElac。少し期待したのだけれど、これも今一ピンと来ない。
そこでタケセンが一言。ウィーン・アコースティック(ViennaAcoustic)はどう?
なるほど。音楽を聞かせようとする音、柔らかく訴えかけてくる。色艶たっぷりの音を奏でます。ジャズ・ヴォーカルなんかいいですねえ、これ。
でも、これじゃちょっとヌルくて飽きるような気がするなあ。音そのものに力も余りない感じ。悪くないんだけど、コルトレーンやカサンドラ・ウィルソン聞くには辛いなあ、と思っていると・・・

ピエガ(Piega)TS5
左はホスピタルグレードのコンセントとタップ

店員さん、いきなり作業を始める。これ、どうでしょう?と奇妙なスピーカーの接続を始める。幅は10cm程度、えらく細長い華奢な感じのスピーカー。音を入れる。
何じゃこりゃあ!?
低音域がえらいしっかりしている。見た目とのあまりのギャップの大きさに大笑い。でも足腰しっかりして芯がありながら色艶もしっかり出てる。音楽を奏でてるんだなあ、これが。パワーもある、音にエネルギーもある。まったくのドンピシャリ。これで決まりだな、とタケセン。

実は私も同感。ジャズボーカルもアコースティックもエレクトリックもいける。でも、ちょっと待てよ、こんな色艶出しててクラシックはちゃんと鳴るのかいな?ベートーベンを流して10秒。はい、決まり。まったく問題なし。
新製品導入のために展示品を処分する必要のあった店員さん、あまりにドンピシャなので、勧めた本人も驚いている様子。

私のシステムは真空管アンプ(Triode TRV-88SE)とCDプレーヤー(マランツSA8003)それにピエガ(Piega スイス)TS5となりました。
展示品特別割引(約4割引き))でした。

また、タケセンのアドバイスで、オーディオのアクセサリーやホスピタルグレードの電源コンセントなども購入してきました。裕太君は、SPコード、ピンケーブル、電源コードも揃えましたが、すべて組んで鳴らすのが楽しみでしょう。タケセンはまたチューニングが大変(笑)。御苦労さまです。

裕太君のシステム(GX100)も私のシステム(TS5)もどちらも素晴らしい音を奏でてくれます。でも内実はまったく異なります。
GX100のシステムはどこまでも原音を忠実に再生しようとします。まだ音楽の志向がこれからも変化する可能性のある若い裕太君にとって、よい音楽をよい音で聴き自らの感性を鍛え上げていくには、GX100のシステムは最高のチョイスでしょうね。

一方、ある程度歳を取り、音楽の志向も定着している私のような人間にとっては、その音楽を音楽らしくエネルギッシュに鳴らしてくれるKT88真空管アンプとTS5の組み合わせは音楽を聴く喜びを与えてくれます。私にはぴったりですね。
『人生いろいろ』とアホなことを言う人もいます。でも、それとは意味が違って、『よい』には質の違いがありますが、その一つの『よい』を生み出し、発見することは手間がかかり、また、よいアドバイサーの力が必要です。しかし、「一つのよい」を見い出したときには、言葉にならぬ大きな喜びが得られます。
というわけで、今日は二つのよい音を発見することが出来、とてもエキサイティングな一日となりました。(古林治)

参考:
http://www.fostex.jp/p/sp_index/Fostex GX100
http://www.piega.jp/products/ts5_01.html Piega TS5
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武田(タケセン)です。

古林さん、ピッタリのスピーカーに出会ってよかったですね。
お誘いしたかいがありました。

「『人生いろいろ』とアホなことを言う人もいます。でも、それとは意味が違って、『よい』には質の違いがありますが、その一つの『よい』を生み出し、発見することは手間がかかり、また、よいアドバイサーの力が必要です。しかし、「一つのよい」を見い出したときには、言葉にならぬ大きな喜びが得られます。」(古林)

ここが核心ですね。

同じオーディオシステムという枠内でも「よい」は実にいろいろ、多種多様で、目眩がするほど(笑)。
でも、ダメ・悪い、と ピッタリ・よいはハッキリしています。
このピッタリ〜〜を見出すのは、実はとても難しく、雑誌やネットという情報を頼りにうかつに手を出すと、酷い目に合います。時間とお金を持て余し、音楽経験も十分にある人でないと出来ません(笑)ホントウです。多くは、「主観主義」に陥り、オタク化してしまいます(独りヨガリ)。コード一本、置台ひとつで音はコロコロ変わりますので、座標軸が定まらないと、無限地獄!!(笑)

というわけで、音楽の愉悦に浸りたい方、音の魅力を味わいたい方は、この道42年のタケセンにご相談ください(笑)。ただし、総予算の最低限は25万円ですので、それ以上でお願いします(なんだか商売みたい?)。

音楽を聴く装置=オーディオは、主観性の「よい」の探求で、まさに哲学です。

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染谷裕太です。

こんばんは、染谷です。すみません、ちょっと遅くなりましたが今度は僕のオーディオ体験談を。

古林さんの体験談にも出てますが、数ヶ月前(就職する前)、タケセンにオーディオのシステムづくりをお願いしました。僕の場合、古林さんと違って元々オーディオをやっていたわけではなかったので、本当に何も分からない状態からのスタートでした。

元々オーディオをやっていたわけではなく、クラシックの生演奏を聞いたことがあるわけでもなく、むしろ小学校の頃は音楽だけは毎学期必ずABCの「C」をとるくらい(笑)で、音楽を積極的に聴き始めたのも大学に入ってからという、音楽体験の乏しく、まさかオーディオに20数万もかけるようになるとは思えない人生送ってましたが、それでも買ってしまったのは恐らく、というより間違いなくタケセンの家にあるオーディオで音楽を聴いたからでした。自分の家にあるしょぼいミニコンポでも聴いていれば「よいな」と思ったり、感動のようなものを感じることはありますが、本物のオーディオでよい音楽を聴いた時には心臓を打ち抜かれたような感動を覚えます。その世界を知ってしまったらやっぱり欲しくなりますし、程度の低いものを持っていると、自分の程度もその程度みたいで、そのこと自体嫌になってきます。そんなわけでオーディオが欲しくなったのですが、機材やセッティングに関しては自分では「何が分からないのか分からない」状態なので、それ関してはもう完全にタケセン任せで、とりあえずなるべく早く最低ラインと言われた金額まで貯金するのに勤しんでました。

それで16日、お金も貯まった所で秋葉原へ連れてってもらい一式揃えたわけですが・・・
オーディオの世界は自分が思っていたよりもずっとずっと奥が深くて際限がない世界でした。
実は秋葉原に行く前に、一度タケセンと柏の「オーディオユニオン」という所へ行って、その時に今回購入したスピーカーGX100ともう一つどこか(どこのでしたっけ?)※注のスピーカーを聞き比べていました。価格差は2万円くらい(GX100の方が高い)だったのですが、その音の差は僕でもハッキリと分かりました。これは全く比較にならない、この値段の差でこれだけの違いはありえない、と。
GX100の方はあの小さな箱から出ているとは思えないくらいに音に密度があってクリアに聞こえて「聴きたい!」という欲求に十二分に応えてくれると感じましたが、もう一つの方はBGMで流す程度ならむしろ良いかもしれないけど、「聴きたい!」と思ったら完全に欲求不満になるような音でした。

アンプとCDプレーヤー

染谷さんのアンプとCDプレーヤー

秋葉原のダイナミックオーディオではGX100にデノン、トライオード、パイオニアのアンプとの組み合わせで何度か繰り返して聴いて、正直色々な組み合わせを次から次と聴いて途中わけがわからなくなったのですが、最後の方、改めてデノンを聴いた時に「あ、やっぱりこれだな」と思いました。
真空管アンプは音がこもって明らかに合ってない。パイオニアの方は最初聴いた時は「キレイ」という印象を持ちましたが、何度か聞き比べていると落ち着いてじっくり聴くにはなんだか軽くて飽きる感じでした。

最初、自分なりに理解するためにオーディオを自転車に当てはめてスピーカーがフレームでアンプがホイールかなぁ、などと考えていたのですが、全然当てはまらない!ということが分かりました。音に影響する要素は本当に沢山あって、僕はまだアンプとスピーカーの組み合わせで変わることくらいしか体験してませんが、電源コードで音が変わる、置く台で、置き方でも音が変わる、それもかなり変わる。さらに難しいのは高級品で全て揃えたからといって最高の音が出るわけでは全くなく、逆に最悪な音になるかもしれないということ。さらにはどんな部屋でどのように聴くかなど、様々な要素を同時にまとめて、引いて見ることが必要で、ものすごく骨の折れる作業だということを、タケセンに任せきりながらもヒシヒシと感じました。一個一個、部分部分だけを追っていたら本当に大変なことになりますね、これは。

最後に今日とりあえず線つないで聴ける状態にしてみたのでその感想を。
自宅で改めて聴いてみると、やっぱり良い!です(笑)。
今まで聞いていたコンポとは音の存在感が全然違います。雑音も照明も音に対して凄く邪魔に感じます。暗くして一人で静かにじっくりと聴いたら相当楽しそうです。
面白そうなのでクラシックだけじゃなく、モーニング娘のCD(僕のではないですよ)も聴いてみましたが、なんと下品なことか!ポップスの音としての質がこんなにも酷いものだとは思ってませんでした。他のJ−POPも聴いてみましたが同じでした。前にタケセンがクラシックは音として高級だと言っていた意味がよーく分かりました。ポップスしか聴かない人はよいオーディオを買ったらイケナイですね(笑)。分かりすぎてしまって全然聴いていられません。
とりあえず一通りは揃って聴けるようになったので、これから色々とやっていくのが楽しみです。

染谷システム

染谷さんのオーディオ・システム
リビングにばっちり収まりました。時間が出来たらアンプとCDプレーヤー用のオーディオ・ラックを作るとのことです。

(※注 このスピーカーは、KEFのIQ30です。)
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裕太君

「タケセンの家にあるオーディオで音楽を聴いたからでした。・・本物のオーディオでよい音楽を聴いた時には心臓を打ち抜かれたような感動を覚えます。

なにかを欲するのは、何であれ「感動」が出発点ですよね。感動なしに(ただ外にある世間の価値に従って)何かをする人が多くなったのが現代ですが、それでは人間の芯が豊にならず、硬直し、紋切型のエロースに乏しい存在にしかなれません。いろいろな「感動」がこの裕太君のメールには溢れていて、読んでいてとても気持ちがよいです。今度はコンサートホールにも足を運んでくださいね。

「今日とりあえず線つないで聴ける状態にしてみたのでその感想を。
自宅で改めて聴いてみると、やっぱり良い!です(笑)。」

おー、おめでとう!スピーカーはじめ、すべての機材(コード類も)は鳴らしこむと音がよくなります。毎日聞いて下さい。大きめの音量で鳴らさないとエージングが進まないので、おやすみの日は近所迷惑で〜(笑)。来週チューニングに行きます。

タケセン家のオーディオ

タケセン宅のオーディオ・システム
スピーカーはTHIEL/ティールの CS2.3(2001ニュータイプ)です。

つづく。


オーディオ体験談 ‐ (2) 一応、完結です。

2009-09-04 14:00:08

古林さん、
「コード」について悩まれているご様子ですので、少し書きます。

わたしが高校生の時(1960年代後半)、親友と二人で「コード」に着目していろいろ実験していたころは、コードで音が変わるという認識は世間にはまだなく、自分でつくる(数本をパラレルにしたり、三つ編みのようによじってみたり、平行線を二本にし離してみたり、・・・)しかなかったのですが、今は、三菱や日立や古川などの大企業から家内工業や個人による手作りまで膨大な製品が出ています。輸入品の数もすごくてとても全体を把握することはできません。同一製品でも超低温処理をして物性を変えた製品が販売会社から売り出されたりもしています。
こうした「コード」についての情報は、まさに新興宗教のようで、「いままでの音がウソのよう」「ついに出会った究極の音」「オーディオ界の革命」「寄せられた感激の声の数々」「10倍高い製品に匹敵」・・・という具合です(笑)。
コード選択の目当ては、音の傾向=硬・柔、太・細、緩やか・締まる・・・・・・を知り(季刊「オーディオアクセサリー」などで繰り返しテストをしています。また、熱心な販売員は、毎日のように新製品をチェックしています)自分の装置に合いそうなものをカンで探るわけですが、アンプとスピーカーの相性で古林さんも体験されたようになかなか大変です。
ある装置で「よい」という結果が出ても、他の装置には合わない、また、人による聴き方の違いも大きく、まったく正反対の結論に至ることもあります。利酒と同じで、音楽とオーディオ体験が豊富になれば、一定の一致には達しますし、合う・合わないの判断は出来ますが「好み」のレベルになれば、バラバラです。
だから、コード類に限らずオーディオ製品は、聴く人と聴き方と環境に合ったものを探る、そのために「情報」を見る(=傾向を知る)というようにする他なく、無条件に「よい」という製品はないのです。 「絶対」はないし、つくれない。しかし、「一つのよい」はあるし、つくれる。これは、哲学=人間の生と同じですね(笑)。
武田

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古林です。

個人の嗜好と機材同士との相性を考慮しないと良し悪しの意味自体が成立しないこと、重々わかります。
その昔、オーディオにはまらなかった(敢えて深入りしなかった)理由は、単にお金と時間だけの問題ではなくて、オタク(病気)の世界と隣り合わせのように見えて気持ち悪く感じたせいもあります(笑)。当時はまだケーブル云々まで行ってませんでしたけど。
いずれにしても、よりよいを追求する世界とマニア・オタクの世界とは表面的な現象としては近いところにあって紛らわしいですね。

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古林さん

「オタク(病気)の世界と隣り合わせのように見えて気持ち悪く感じたせいも
あります(笑)。」(古林)

は、オーデイオに限らずです。
哲学も、法学などの個別学問の学者もオタクが多いですよね。

@何のために、A何を目がけて、Bどのような方法でということが、明晰に意識され、かつ開かれたものになっていないと、なんでもオタクになります。今の日本で「受験秀才」は、ほとんど全員オタク(=テストオタク)ではないでしょうか?(笑)。

オーディオは、感性が試される総合的な技術のため、特定の「理論」によって図ることが出来ず、実践的な試行錯誤と豊かな感性が求められます。ところが、「理論」による決着を求めがちな男性がオーディオの主役なために、「一つのよい」を求めるのではなく、「絶対的なよい」を求めがちで、それが、袋小路に入る原因のように思えます。無意識の底意として、「理論」を詰めれば分かる(解明できる)はずだ、という想念に縛られていると、どのような分野でもオタクになりますね。

武田

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染谷裕太です。

オーディオも大きな世界の中の一つのものだと分からずに
「オーディオ」という世界の中だけで重箱の隅をつつくような事ばかりしているのがオタクってことですかね。学者の世界もそうですね。


ベルリオーズ鳴らしてみました。
前から感じていたことですがベルリオーズの音楽は音楽じゃないみたいですね。
初めて聴いた時は自分が今まで聴いてきた音楽とは全然違うので戸惑いました。音楽って同じような旋律を何度も繰り返すので次がなんとなく分かって、だから無意識にメロディーを追いかけながら聴いていたのですが、ベルリオーズの音楽を初めて聴いた時は、どんなメロディーでどうなっていくのかが全然想像できなくて、「なんて聴き難いんだ」とさえ思いました。
でもタケセンが以前ブログに書いた聴き方のコツのとおりに聴いてみたら、ちゃんと音楽が入ってきたので、あれはちょっと目から鱗でした。

で、よいオーディオでベルリオーズ聴いてみてですが、音楽を聴いているというよりも、ベルリオーズの頭の中というか心の中というか、を見ているような体験しているような、なんとも言葉で言い難い感覚で、音楽なのにやたらと生々しく感じました。なんかもう他の作曲家とは頭の構造が根本的に違うと思います。なんであんな曲を作れるのか意味が分からんです(笑)

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古林です。
オーディオ体験談の続きです。

昨晩、私のピエガTS5を中心としたオーディオ・システムの音のチェックをしに
タケセンが拙宅へ。
二人で一通り、音を確認しながら、
『やっぱりこの組み合わせは結構いい音出してるよね。でもフル・オーケストラ聴くと(タケセン宅のシステムとの比較の問題だけど)ダイナミック・レンジの狭さを感じるねぇ。』
などと感想をたれていたのでした。

それから、
『ちょっとこの電源ケーブルに変えてみましょう。』
タケセンが持ち出したるは、タケセン宅で利用中の電源ケーブル。
恐ろしく頑強そうなごっついケーブルです。
ケーブル変えただけで音が変わることについてはもういくつか経験済みなのでさほど驚くようなことはない、と思っていたのでした。
が、これはちょっと!! ちょっとこれはないでしょう。
これまでは音の傾向が強調されるとか改善されるとかいうものでだったのですが、これは違います。全体に音がしっかりし、クリーンになり、楽器が生の楽器として聞こえ、人間の声(ヴォーカル)が生の声として聞こえてくるのです。
音の傾向はそのままに、音の質がまったく変わってしまうというあきれる経験をしてしまいました。
なんだよ!ケーブル一本でシステム全体の音の質が変わってしまうって?
参りました。聞かなけりゃ良かった(笑)。ケーブル一本に5万円?信じらんない!
と言っていた私がいずれ、そのような狂気にはまること間違いなさそうなのです。
ちなみに、いずれ買うことになりそうなこの電源ケーブルはジャーマンフィジックス(ドイツの独創的なスピーカーメーカー)製だそうです。

古林システム

私(古林)の家のオーディオ・システム
最終的にCDプレーヤー用の電源ケーブルはTiglon MGL-1000A/1.2m
アンプ用の電源ケーブルは三菱電線 電源ケーブル PC−1 で
バッチリです。

さて、おしまいに、スピーカーの下に御影石や大理石などを置いてしっかりさせると、さらに音がしっかり出るとのこと。今日、ジョイフル・ホンダで早速一枚750円の御影石を買ってきました。
石の下に敷くラバーマットを東急ハンズのネットで調べたのですが、よくわからずタケセンに相談したところ、タケセン手持ちのものを持ってきてくれたので、それを敷いて音を再生してみました。

今までこもっていたと思われる音が表に出てきた感じです。
たとえば、低域の音圧が体で感じられるようになりました。中域や高域でもこごもっていた音が出るように感じられ、結果的には音全体に厚みが出て立体感のある音に変わったように思います。

次はオーディオ・ケーブルをもう一度トライしてみようかと思ってます。

さーて、裕太君のほうはどうなってますでしょうかね。
お休みになったらいろいろいじってみてください。

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こんばんは、染谷です。

一昨日の日曜日、タケセンにスピーカーの置き方、ケーブルの接続の仕方などなど、色々と教わって現状の中で一応完成となりました。
で、感想ですが、とりあえずつないだだけだった一昨昨日まで状態と比べて明らかに良くなって、ベッタリしていた音がフワッと広がったように感じました。ケーブル一本、置き方一つで音は変わると聞いていましたが、基本を踏まえてちゃんとセッティングするとここまで変わってしまうとは。驚きです。

もう一つ驚いたのは電源ケーブル。古林さんの体験談その3に出てきたジャーマンフィジックスの電源ケーブルです。タケセンが持ってきてくれたので、それをつないで聴いた瞬間「え?ウソ?」と思いました。音が高級になって、オーディオの格があがったか、CDの演奏がもの凄く上手くなったのではないかと思うほど、ハッキリ違いました。雑音が消えたと言ったらいいのかな。聞こえなくてもいい部分が奥に引っ込んで、聴こえるべき部分の輪郭がハッキリとして、しかも高級な音で聴こえてくる。
値段が5万と聞いた時、「あぁやっぱり」という思いと同時に、「思ったより安い」とも思いました。見るからに高そうでオートバイに使うワイヤー錠なみのゴツさですが、これだけ音に影響することを考えれば、安いと思ってしまいます。これは「耳に毒だから」と言いながらも持ってきて聞かせてくれたタケセンにしてやられました(笑)
でもまぁ、しばらくはそのままで聴くと思います。その前にアンプ、CDプレーヤーを置く台と、スピーカー台のぐらつきをなんとかしないといけないので。

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裕太君

少し前の「常識」を持った人がこの音を聴いたら仰天!!するでしょうよ。
リビングが、まるでミニコンサートホールに早変わり!という感じでしたね。
朗々と歌う第九には聴きほれてしまいますが、このような音で音楽が鳴っていたら、み〜んな音楽好きになります(笑)。
オーディオも大きく進歩して、よい時代になったもの。メイド イン ジャパンの素晴らしいスピーカー(フォステクス)を活かす組む合わせができて、わたしもホッとしています。ブラボー!!!

タケセン
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なお、組み合わせはアンプとSACDプレーヤーは、デノンの1500です。

(コンパクトにまとめたい方は、同じくデノンのプレーヤーアンプ,RCD―CX1がいいと思います。なお、グレートを更に上げようと思う方は、プレーヤーを1650にされるとよいでしょう)

アンプとプレーヤーをつなぐピンコードは、一般的でどこでも入手可能なワイヤーワールド(1万円程度)を使用。
SPコードは、メートル1000円くらいのものでOK(締まり過ぎないもの)。電源コードは一番影響しますが、全体の価格を考慮して2万円程度のもの(ただしプレーヤーとアンプ用両方ですから4万円くらい)。

以上すべてで23万円くらいです。
なお、フォステクスよりこのスピーカー用のウーファーシステムが出ますが、これを加えると鬼に金棒ではないかと思われます。

タケセン=武田康弘


オーディオ体験談 ‐ (3) ー「コードによる変化」

2009-10-03 14:54:53 

古林治さんと染谷裕太さんの「オーデイオ体験談」 @ & Aの続きです。


コードで音が変わることについて。

誤解を避けるために、少し書きます。

オーディオ装置は、スピーカー、アンプ、CDプレーヤーで構成されますが、これらのもつ個性、とくにスケールの大小で、基本の骨格が決まります。
もちろん大型装置では、スケールが大きく、エネルギー量も豊かです(スピーカーに一番左右されますが、アンプやプレーヤーにも関係します)。
ただし、聴く環境や音量や聴き方により、大型装置ではマイナスとなることがあります。
現実には、小型装置の方が適することも多いのです。それぞれ違う「よさ」があるのです。

コードを変えることで、この基本の骨格・性格(特にそのスケール)が変わることはありません。基本の骨格は変わりませんが、音質の変化は、かなり大きなもので、おそらく、オーディオにあまり関心のない方が想像するよりもはるかに大きく、その変化に驚かれると思います。

コードで変わる、というのは、音の濃やかさ、質感、色模様、締まり、濃淡、余韻、硬柔、ある程度のエネルギー感などですが、何十万円もするハイエンド用のコードにしたら、元の音の骨格まで変わってしまうという意味ではありません。当たり前の話ですが。

なお、教育館本部(武田宅)のオーディオシステムは、
【CDによるコンサート】(新旧の演奏を味わうことや演奏の聴き比べ)のためにつくったものですので、一般家庭における再生音とは異なり、スケールが大きく、情報量が多く、ダイナミックレンジと周波数帯域が広いですが、そのためには、装置が大型化してしまい、建物の堅牢さも必要ですので、これを基準にして一般家庭用のオーディオシステムを組むことはできません。

総重量は200キログラムほどで、ピアノと同程度ですが、音楽の支えである低音を余裕をもって再現するためにはどうしても大がかりになってしまいます。
電源も家庭内配線とは別に200ボルトで引き、それをオーディオ用の大型トランスで100ボルト下げて使っています。

もう少し一般向きのオーディオの場合、大エネルギーは必要としませんので、量よりも質を確保すれば、気持ちよく聞くことができ、満足感が得られます。体全体で音圧を受けるような聴き方をするのでなければ、大きなシステムはいらないのです。


武田康弘



これはほんもの!!三菱電線のオーディオ用電源コードPC−1

2009-10-04 11:47:48  

素晴らしいオーディオ用の電源コードを発見!?(笑)しましたので、ご紹介します。

このコード(PC−1・1.5m)の音は、解像力、SN比がよく、癖がなく、フラットでニュートラル。
破綻がなく、雑味がなく、澄み切ってクリアー、抜群の安定感を持ちますが、
しかし、冷たさ、硬さとはまったく無縁であり、
豊かで、コクがあり、まろやかでさえあります。音を絞ってもボケず、実に気持ちがよいものです。

音を意図的に作ったのではなく、正攻法で愚直なまでの熱意を持って取り組んだ結果が、極めてバランスがよく、聴きこむほどに魅了される美しさを生んだ、そう思います。
これは、ほんもの。本物中の本物と言いたくなります。3日間のエージングでどんどん音がよくなり、怖いほどです。価格を超越した見事な製品に乾杯!です。
世界最大の無酸素銅線のメーカーである三菱電線が、線材から開発したオーディオ用電源コードは、やはり半端ではないですね〜〜〜。
設計者の情熱=冷静な科学を支えるパトスに感動しました。


(用いたSACDプレーヤーは、マランツのSAー12S2)

☆技術的な詳細は、三菱電線のホームページをご覧ください。販売店では買えず、直販のみです。

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追記、10月15日

SACDプレーヤー=Shanling(シャンリン)SCD-T200Cの修理が上がり、このプレーヤーで電源コードを試して見ましたが、結果は同じ。
この真空管出力のSACDプレーヤーは、マランツの高級型より更に音がよく、実在感に優れ、生の音のイメージに近づきます。そのよさを三菱の電源コードが十全にひき出し、実に聞きやすく、安定感抜群の音、低音が余裕をもって伸びていきます。
よい意味で、電源コードの標準となる製品、それがわたしの結論です。26000円は極めて良心的な価格です。


武田康弘


2009年12月7日
古林 治

 
 
 
 

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