白樺文学館 開館顛末記 目次
6.建築の理念
‐ 建築会議は哲学研究会分室? −
白樺文学館設立に向けて現在、武田先生と設計者、施工
(せこう)
者との間で設計会議が定期的に開かれているそうです。
当然、建築空間や建物の造形・素材、彫刻、 あるいは家具といったものに対する基本的な考え方(コンセプト)は、この文学館の理念と整合性がとれていなければなりません。極端に言えば、それらは理念が生み出してくるものでもあり、何のためにこの建物を建てるのかという自問自答が常に要求されるわけでもあります。
が、現実には、どんな仕事もそうですが、分業化が進み、理念とコンセプト、そして実際に実現される空間やモノとが乖離
(かいり)
する傾向にあります。
武田先生がその乖離を埋めるべく、徹底的に理念を具現化する作業に追われるのもまぁ無理からぬところだな、と私には思えます。
ところで、最近、タケセン(子供たちは皆こう呼んでます。もちろん武田先生のことです。)と設計者それに施工者との間で突っ込んだ会話が交わされているうちに、どうもその面白さ、本当のモノを生み出す面白さに関係者が皆はまってしまったようです。
最近は設計会議も週2回に増え、時間も相当な長さに及んでいる、とのこと。
下に掲載するのは、その設計会議のときにタケセンが使ったメモのようなものです。
なんとなく雰囲気が伝わるでしょうかね。伝わると良いんですけど。
よく見てもらえばわかると思いますが、設計会議はあたかも【哲学研究会】の分室のような感じになってませんか。そう思うのは私だけかしら?
ついでにといっては何ですが、そのメモの上の方にあった図案(雑誌 「白樺」上にあった図案)をいただいて、ちょっと画像処理したのが下の図です。
文字だけではちょっと寂しいのでこれからトレードマークのように使ってみようかと考えてます。
2000年6月14日 古林
白棒文学館 - 彫刻・家具・造作・建築空間・形
武田康弘
※品位が高く、美しいこと。
※明るくモダン。かつ、しっとりとした落ち着きがあること。
※合理的で機能性が高いこと。安全で快適なこと。
【A】○○○よいイメージ
【B】×××わるいイメージ
のびやかで自由。
しなやかで柔らかい。
とり澄ましていて硬い。
スタティック=静的。
親しみがあって楽しい。
カツコをつけている・演出されている。
濃
(こま)
やかさ、優しさ、おおらかさ、暖かさ。
厳禁の精神。 冷たい。
真実・率直・ほんとう。
慇懃無礼
(いんぎんぶれい)
。 ウソ・騙
(だま)
し。 たてまえ。
中身の豊かさ面白さ。
内容のよさ。
形式的・儀式的。
様式=パターン。
開かれている一民主的。
閉ざされている一官僚的。
「私」性、臨機応変。
先見性、未来性。
集団性、規則主義。
現状維持、後向き。
納得・腑
(ふ)
に落ちる。 真・善・美。
普遍的。
競争・勝ち負け。 損得・利害。
一般的。
意味をつかむ知。 思考、創造。
心の自立。
受験勉強。丸暗記、なぞり。
服従。
健康的、輝きと瑞々
(みずみず)
しさ。
頽廃
(たいはい)
的、ツヤがない。
聡明
(そうめい)
、明晰
(めいせき)
、平易
(へいい)
。
濁っている、衒
(げん)
学的、権威的。
色・実質・内側からのボリュームで形をつくってゆく。
立体的、奥ゆきと拡がり。
内的・意味と必然性のある空間形。
輪郭線=アウトラインで形を描く。
平面的、上っ面の世界。
外的・単なるデザイン。カッコヅケ。
白樺文学館は、
A
のイメージを喚起する形 一 空間で全体を構成する。
B
は、象徴的に言えば、天皇の歌=君が代斉唱の強要・起立!礼!の号令の世界。
悦
(よろこ)
びや愉
(たの)
しさ、生き生きとした伸びやかな世界とは反対の(非人問的)な世界。
「人問を幸福にしない」イデオロギーである。
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