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                2.白樺文学館の建物の地が美しいわけ
LP 盤の再生がもたらした「強いコンクリートづくり」原理を知り、基本に忠実になること。
 いま、明後日早朝〜午前にかけての台風に備えて、外れていた屋上のフェンス                  の足場をコンクリで補修しましたが、作業をしていて、ちょうど30年前に自宅を建てた時のことを思い出しました。
  わが家は、大成パルコンのRC造ですが、実は、建てる時に営業担当者と現場                  の責任者に話をし、基礎コンクリートの配合比を変えてもらったのです。大成建設の説明で                  は、気泡を含むパルコン板は通常のRCより多少軽く、かつ二階建ということもあり、基礎のコンクリート配合比は、1対3                  対6(セメント、砂、砂利・180s基礎)とのことでしたが、
 わたしは、もう一                  ランク上げて1対2対4(210s基礎)にしてもらい、かつ、砂と砂利を吟味して(海砂・海砂利などは論外)わたしの知り合いの建材屋から購入、さらに、よくかき                  混ぜてから(コンクリミキサー車での攪拌時間を延長)使用してもらいました。
    なぜ、そうしたかと言うと、学生の時(1970年ころ)、LP盤を再生する                  プレーヤーの振動による音質劣化を抑えるためにコンクリートの箱をつくりましたが(後で、砂を充填したボックスに変                  更)、その時の失敗による経験で、強いコンクリートの作り方を学んでいたからです。
 用途にあった適切な配合比率、水分を適正にすること、よい砂と砂利(塩分は大敵)、よくかき混ぜること、
 この条件を満たさずに気を抜いてコンクリートをつくると、脆く、ぶつけるとヒ                  ビが入ります。見た目も汚いので「手抜き」はすぐ分かります。
 
 恐ろしいのは、標準よりも水を20パーセント増すと、コンクリー                    トの強度は50パ−セント(半分!)に低下するので、現場での作業のし易さから水を増やすと、構造計算など何の意味もなくなることです。そういうビルはたくさんあるで                  しょう。型枠に流すのに、標準の水量だとかなり固めですから、曲がったところは流し込みにくく、水を増してしまいがち。
    大成パルコンは壁式一体構造で、壁板は「工場生産」ですからよいですが、一                  番大切な基礎は「現場打ち」になるわけですから、基礎を十分に考慮したのです。出来上がった基礎を見て、大成の関係者も                  美しいコンクリートの地肌に納得(パルコン事業部の副社長も見に来て、他の現場とは違うと認識)し、その後のパルコン                  は、コンクリートの配合比を210kg基礎に変更したとのことでした。30年前のことです。  この経験は、のちに『白樺文学館』(地下室もあり曲面をもつRC造)や『白                  樺教育館』(パルコンRC造)を建てるときに大いに役立ちました。文学館の建設では、一級建築士たちも総出で、朝からコンク                            リート流し込みに立会い、作業を手伝いました。強いコンクリートをつくる条件を愚直に守ってつくっ                            た建物は美しく、建築士たちもその出来栄えに、う〜〜ん、なるほど違う!!と唸ったのでした。現                        場を知らずに図面だけ、デザインだけの建築士ではいけません!    何事も原理を知り、基 本に忠実でないと。それがないと今の政治のように滅茶苦茶になります。子育て、教育も大元を知らないと、情報に                  踊らされ、ダメ人間を量産していまいます。東大病は恐ろしい精神の病。
  武田康弘 2014年10月12日  
 
 タケセンの「思索の日記」 より抜粋2014年11月4日
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