10. 白樺教育館/佐野新館長

 白樺文学館が開館してから8ヶ月が過ぎようとしています。最初の構想が出てから約2年半。その基本構想から具体的なプラン、資料集めから、人の手配と教育、運営まで数人のスタッフで、実質的にはそのほとんどは武田館長の手によって作り上げられました。
 ようやく、運営も軌道に乗りはじめて来たところで、館長もそろそろ雑務から離れ、本来の教育活動、市民活動の方に没頭したいという時期です。

 一方、個人メセナとして金銭面での全面的な支援を行ってきた佐野さんも、ビジネスの世界から身を引き、残りの人生を白樺文学館にかけてみようという意気込みで燃えています。

 そんな事情により、9月より白樺文学館の運営が大幅に変わります。
 どう変わるかというと、佐野さんが二代目館長に、初代の武田館長はタケセンに戻って、教育と白樺文学館の理念を具体的な活動で体現していくということになります。もっと具体的に言うと、現ソクラテス教室を建て直し、白樺教育館/ソクラテス教室に衣替えして内容のある活動に専念するということです。

 白樺教育館/ソクラテス教室は来年(2002年)中には開館の予定です。

白樺教育館/ソクラテス教室 完成予想図

 この白樺教育館とは何か、その建設の意味を直接タケセンに語ってもらいましょう。

白樺教育館 建設の意味

 個人としての輝き - 悦(よろこ)びや愉(たの)しさを創(つく)りだし、閉塞(へいそく)した時代を切り開くためには、新たな質をもったイマジネーションに溢(あふ)れる<本物の知>「民知」が求められるでしょう。

 単なる事実学の勝者=テストオタクではなく、意味論としての知=民知を追求することのできる豊かな人間の育成が現代における喫緊(きっきん)の課題だと思います。

 〔T〕記憶と技術的な知の習得
 〔U〕考えること - 意味をつかむこと、
 〔V〕感じ知ること - 情感の満足
の三者を一体として同時的・重層的に行なう新たな教育の創造がいま何よりも求められているのではないでしょうか。

 そのために必要な、民知の学びにふさわしい、機能性が高く美しく魅力的な教室をつくること。<よいこと・美しいこと・ほんとうのことへの憧(あこが)れ>を生み出す空間の創出。それが白樺教育館建設の意味です。


 民知とは、意味とイマジネーションに溢(あふ)れる、人間の生きる意味と結び付いた知=英知のことです。言い換えれば、腑(ふ)に落ちる深い納得=頭と五感を使った心身全体による会得(えとく)のことですが、そのためには、全く新しい発想による創意に満ちたクラスルームをつくることが必要です。

 興味深い充実した図書と新たな機能を備えた創意あふれる教育館は、利用者(小学生〜成人)に心地(ここち)よい刺激と大きな悦びをもたらすことでしょう。


 白樺教育館は、本来の意味での公共性をもった市民精神に基づく教育の場です。明るくオープンで、しかも揺(ゆ)るぎない強さをもった21世紀の「アカデメイア」にしたいと考えています。

2001年8月10日 武田康弘

 というわけで、白樺文学館とともに白樺教育館/ソクラテス教室の活動にも請う期待です。


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2001年8月28日 古林 治