民知の図書館
23.『日本が「神の国」だった時代
- 国民学校の教科書を読む -』
入江 曜子 著(岩波新書 2001年12月刊 ¥740+ 税)
以下、少し時間が経ってしまいましたが、タケセンの「思索の日記」より抜粋します。
この本は、高校生、大学生には必読書です。
日本の高校生、大学生が「現代の歴史」を自分自身の経験と照らし合わせて知ることは必須の営みですが、いまだにこの基本的な課題が果たせていません。わが国の学校教育の不備・歪みです。
この本の最後で指摘されている戦前・戦中の日本の問題点は、なんとも残念なことですが、今日でも克服されていません。
以下に書き写します。
「この時代、このような教育と訓練の名による超国家思想を刷り込まれた不幸は、
一体感のなかに、横並びの価値観のなかに自己を埋没させる快感―判断停止のラクさを知ってしまったことである。
そしてもう一つの不幸は、全体主義のまえに個人がいかに無力かということを知ってしまったことである。
そしてさらなる不幸は、いかなる荒唐無稽も、時流に乗ればそれが正論となることを知ってしまったことであり、
それ以上の不幸は、思想のために闘う大人の姿を見ることなく成長期をすごしたことであろうと思う。」
2008/05/21
〈武田康弘)
(以上、タケセンの『思索の日記』から )
古林 治 |