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2.ソフィーの世界

ソフィーの世界ヨースタイン・ゴルデル
1997年 日本放送出版協会 上・下 各巻\1000
または
1995年 日本放送出版協会 \2427
(上下2巻本の方がお値段安いですが、目の弱い方は1冊本の方が字が多少大きくて読みやすいです。ちょっと重いですが。私も老眼入ってますので重い方を選びました。)

 「女性のための哲学講座」の参考テキストで、ご存知のように大ベストセラーになった哲学&ミステリーの本です。

 ソフィーとヒルデ、それぞれが存在する二重世界は一体どーなってんだ、という興味にひきづられていつのまにか哲学の歴史をたどってしまうという構成の奇抜さ、面白さ。私も二度一気読みしてしまいました。

 哲学ってやたら理屈っぽくて難解ですよね。私も興味はあったものの、その難解さにときどきウンザリして
 こんなものが一体何の役に立つんか。
と離れつ戻りつという繰り返しでした。でもそのやたら難解なことの理由は、実はこういうことらしいです。

 元々ギリシャ哲学自体は西洋の思想よりも仏教思想に近いと言ってもいいんです。それを一神教のキリスト教世界に取り込もうというのはかなり無理があって、そのあまりに大きな違いに決着をつけるために西洋哲学は何百年も精緻を極めた論理を駆使して来たんです。
とタケセンは説明していました。
なるほど。
ということは、哲学の本質を単純明快に説明した本ていうのは売れても不思議はない、ということになりますね。

 でも『ソフィーの世界』がこれだけ売れたということは逆に言うと哲学に何かがある
かもしれないという大きな期待が読者にあったともいえるでしょう。たくさんの人が生きることの意味とか不安にかられているのでしょうか。そうだとすると、『ソフィーの世界』はその期待にこたえているといえるでしょうか。私はそこに物足りなさを感じています。何か一番重要なものが欠けている、という印象を持っています。
それを一言で言ってしまうなら
 『人は私という主観から発想する以外生きる術がない、という点を明確におさえていない。』
ということになるでしょうか。このあたりの話、簡潔に明晰に書けないものかとタケセンにお願いしているんですが、これ、ちょっときついですかね。
ま、万が一出来たら、いつかこの場で発表したいと思います。
 ちなみに、これは柳宗悦をはじめとする白樺派の人たちの『【私】から出発する!』
という思想とも相通じる部分がありますので、ぜひともやってもらいたいんですけど・・・
もし待てない人は竹田青嗣氏の本を読んでみてください。

   
2002年5月25日 古林 治
 
 
   
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