民知の図書館
10. 昭和天皇《原題は,HIROHITO》
ハーバート・ビックス著 2002年7月30日 講談社刊 2300円
著者は、日本と米国で教鞭のとってきたアメリカの歴史家。この本は、2001年のピュリッツアー賞受賞の大著ですが、先月(7月)30日に日本語訳がでました。すでにベストセラーです。
膨大な資料を駆使し、冷静・緻密な考察と分析によって、従来の「平和を愛した」昭和天皇像は、根底から覆されています。
どのような教育の下で彼は育てられ、つくられていったのか? なぜ積極的な戦争=植民地拡大政策を選択したのか? なぜ戦後一言の反省も口にすることがなかったのか? 彼の責任を問わない日本人とは何なのか? 興味は尽きません。
本書はまた、「敗戦国の元首が、間接的にせよ著しい暴虐に加担したのに、処罰をまぬがれ名誉と権威のある地位に留まることを許された場合、その国がどうなるかの研究でもある。」(著者)
日本の近・現代史の学習・研究のみならず、日本の現在と未来を考える上においても必読の文献でしょう。
下巻の翻訳、発売が待たれます。
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