アカデメイアの主祭神=エロースについて
ギリシャ語の「エロース」は、英語読みでは「キューピット」です。愛の神「エロース」は、プラトンが創設した史上最も名高い学園「アカデメイア」の主祭神です。
「アカデメイア」は、プラトンの私邸と小園と体育館兼対話場からなり、アテナイの市民は、自由にこの学園の教育と研究の様子を見学することができた。
小規模な図書館も備えていた。階級の別はなく、授業も形式ばらない友達どうしのような話しことばで進められていたので、「友人たちの学校」と呼ばれていた。宗教的な匂いは、全くなかった、プラトンのシュンポシオン(英語読みではシンポジューム)は、くつろぎと対話の愉(たの)しみを求めて、知的香気(ちてきこうき)高い雰囲気のうちに、お互いに愉快に交わるのが常であった。と伝えられている。
(講談社学術文庫1361「プラトンの学園 アカデメイア」廣川洋著を参照)
ソクラテス‐プラトンの思想の核心は、人間の欲望を肯定するところにあります。荒々しい欲望も否定するのではなく、飼い馴らすものとされます。飼い馴らすことで、人間の最高の欲望=よいこと・美しいことそのものを求めるためのエネルギーとして生かせ、と言います。
恋愛の聖なる狂気をつかさどる「エロース」神は、深い納得=哲学をつくるための動力源であるがゆえに、「アカデメイア」の主祭神とされたのです。
プラトン著「パイドロス」および「饗宴」をぜひお読み下さい。
(武田 康弘)
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